遠距離恋愛
 互いに会うことが出来ず、電話やメールでしか話すことが出来ないつらい恋愛。
 いくら相手が恋しくても今相手は他の人と一緒にいるかも知れない。
 それを知ってもどうすることも出来ない。
 ただ感情を読み取れない文章を見てそれを信じるしかない。
 それに、どんなに好きでも会えなければ感情は薄れてしまう。
 しかし近くの人に好意を抱いても、遠くにいる相手を想うといてもたってもいられなくなる。
 先の未来か? 今の現実か?

 アナタならどちらを選ぶだろう……



No.03 叶わぬ恋と知りながら



 あれから二年の月日が流れた。
 一目見たときから好きになり、一緒に行動した三泊四日の夢物語。
 まだ中学生だった俺は先のことなど考えずそのままその子と離ればなれになってしまった。
 なんであの時一言言えなかったんだろう……結局メールのみでしか話せず、次第に関係は自然消滅みたいになった。
 今思えば後悔することばかり。
 俺はまだ忘れることができないけど、あいつはもう新しいやつがいるんだろうな。
 俺も新しい恋に走るかな……

+++☆+++☆+++☆+++☆+++☆+++☆+++


 俺の名前は泉水 鏡。
 今、俺は友人たちと一緒に新年の初詣に来ている。
 もちろん男だけでなく女子も一緒だ。みんな、小学生からの付き合いだったりする。
 っで結構な人数で来ているわけだが、誰一人付き合っている人がいない。
 当然ここで言ってる付き合いは男女の交際であって、最初の小学生〜〜〜ってやつは違う意味だ。
 それぐらい分かるよな。
 話がそれたが、まあ実はこの中に両思いのヤツらもいるんだよな……
 後、事情があって手が出せないヤツもいる。少し境遇は違うが、俺も似たようなもんだ。
 ただ俺から見れば近くにいるだけ良いと思ってたりするんだけどな。

「あんたが遅れてくるからでしょう!」
「俺のせいかよ」
「当たり前でしょう!」

 はぁ……また始まったよ。コイツらは目を合わせるごとにケンカをしだす。

「互いに好きならケンカすんなって」
「「誰がこんなやつ!」」

 こういう風に余計な爆弾を放るやつもいる。ちなみに、その爆弾の内容は当たっていたりする。
 まあ一言で表すと個性が強いのが集まっているってことだ。

「あいつらよく飽きないな」

 俺と同様に少し離れたところでやり取りを見ているヤツが呆れるように言った。

「互いに素直じゃないから仕方ないだろ」

 意見には同意するが、何を今更って感じのニュアンスで言ってみた。

「言い合える相手がいるだけ幸せなのにな」

 少し微笑みながら二人を見てそんなことを言い出した。
 ハッキリ言って、コイツがこんな発言をするなんて意外だ。前代未聞とも言う。

「なんだ〜深夜。彼女欲しくなったか? いい子紹介してやるぞ」
「いらん。人のこと言う暇あったら自分の作れ」

 深夜の鋭いカウンターに俺は言葉に詰まってしまった。
 からかい半分でそんなこと言わなきゃ良かったと後悔。
 ちなみに俺の友達たちはみんな遠距離のことを知っている。と言うかその時の関係者だ。
 付き合うキッカケを作ってくれた反面、二人きりの時間を邪魔されたりと良かったのか悪かったのか分からない。
 一つ言えることは、俺は未だに彼女のことを引きずっていることだけ。

「そっか……まだ期待してんだな」

 俺の思考を読み取ってか深夜がそんなことを言い出した。

「バーカ。もうメェルもしてないんだぞ? 今俺は新しい恋を探しいる最中だよ」

 つくづく自分で負けず嫌いだと思った。
 ただ嘘はついてはいない。実際思っていたことだし。
 でもね……深夜の顔見ると全然信用してないっていうのが目に見えてる。
 俺も深夜から見ればそうなんだろうな。

「長い付き合いだ。お前の考えはお見通しだよ」

 やっぱそうらしい。深夜は長い付き合いでも何考えてんだか分からないときがあるが。
 そう言われたため、素直に本音を吐くことにした。

「引きずってるわけじゃないんだがな……」
「それを引きずってるって言うんじゃないのか?」

 ほんと正論しか言ってこないヤツだよ。もう俺は開き直るしかなかった。

「まあ叶わぬ恋と知りながらも待ってる俺ってかっこよくない?」
「ならメールくらい送ってやれ」

 クッ……先ほどから痛いところついてくる……
 たしかにメールくらいは送れるが、春先頃からずっとメールしてないこともあり、しづらいのが現状。

「まっお前の性格からしたら出来ないわな」
「ほっとけ」
「じゃあ俺からのお年玉やるからさ、受け取ってくれ」
「あん?」
「帰ったらわかるよ」

 深夜のお年玉が何なのかは気になるが聞こうとしたらケンカもひと段落したみたいで、みんなにさっさと来いと催促された。
 そのせいで深夜にうまく誤魔化された。深夜のことだから変なことはないだろうが……


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 初詣から帰ってきてパソコンの電源を入れた。そしてメールボックスをチェックをした。
 いつものように送受信をするとアケオメメールが10通以上来ていた。
 中には先ほど一緒に初詣に行ったヤツらのもあるけどな。
 一つ一つ見ていたら最後のメールは見て俺は固まってしまった。

「み、ミィ?」

差出人: 平野 美音 宛先: kyo-izumi0205@xxxxx.ne.jp 件名: 明けましておめでとう♪
久しぶりだね。元気? 実は漣くんからメール来て、色々今の鏡くんのこと聞いてたらついメールしたくなっちゃって しちゃいました☆ 迷惑だったらゴメンね。 今までメールできなかったのは慣れない高校生活でドタバタしてて余裕なかったんだ。 鏡くんがよければまたメールするね。 それじゃまたね♪


「な……なんだよ、これ」

 本文を見て唖然としている時にタイミング良くメールが届いた。
 どうやら深夜のようだ。

差出人: 漣 深夜 宛先: kyo-izumi0205@xxxxx.ne.jp 件名: ☆お年玉☆
このメールを見てるならお年玉も見てくれてるだろ。 自分の気持ち正直に伝えろよ! じゃ、報告待ってるわ


 ああもう! 深夜のヤツ!
 大体ミィになんて送ったんだよ。
 深夜の内容から考えて、俺の気持ちは言ってないようだが……
 下手したら寂しがってる程度は言ってそうだな……うわぁ! 覚えてろよ深夜!  と、とりあえず深夜は後にして、ミィに返信することにした。


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「っで結局言わなかったんだな」

 メールしてから数日後、深夜と偶然会い一言目がこれだった。

「なんで深夜が俺の返信内容知ってんだよ?」
「そりゃメールしろって仕向けたの俺だぞ? それくらい平野から聞いたさ」

 …………こいつ、俺の予想よりもっと直接的に言ったんじゃないのか?
 ちょっと怖かったが、聞かないわけにも行かないと思い恐る恐る聞いてみた。

「ん? 鏡のヤツがまだ平野のこと諦めれないでいるから、平野に気持ちがあればメールくらいしてやってくれって」

 ってことは笑顔でサラリと言い放った。女性から見れば、こいつの笑顔は天使って感じなんだろうが
 俺には悪魔にしか見えない……

「……マジでそう送られたんですか?」
「ああ」

 ある意味、聡や誠よ質が悪いことが分かった。
 普通そうハッキリ送るか?

「あのな……例えそれが事実でもだ。そこまでハッキリ言わないだろ」
「曖昧は良くないだろ。鏡のことだから言わないだろうっと思ったし」
「はぁ……」

 かなり脱力。深夜は女性を好きになったことがないっぽい。少なくても俺は知らない。
 故に他の人から相手に伝わる嫌さをコイツは知らない。
 覚えとけよ、深夜。目に物見せてやる。

「まあ、頑張れよ。誠みたいになるなよ」
「アホ言うな。誠は臆病なんだよ」

 話は自然に他のやつらの話しになっていった。
 深夜自身、過去に色々あったみたいだ。今は深くは語らないけど。
 みんな好きな人のため苦労しているってことは分かる。
 年下のため、手を出せないでいるやつ。
 幼馴染という存在のため、近すぎて互いに素直になれないやつら。
 色んな恋愛というのを間近で見てきている。
 遠距離ぐらい俺も乗り越えなきゃいけないな。

 なあミィ? 遠距離はたしかにつらいよ。
 でもやっぱり、俺はお前のことしか想えない。
 ミィはどうかな? 俺のことまだ好きでいてくれてるのかな?
 もしその気持ちがあるならさ、つらいだろうけど後少しだけ辛抱してくれないか?
 いつかきっと迎えに行くから……その時はまた……

 俺の隣りで笑ってくれますか?




+☆ fin ☆+





……題名、合ってるかコレ? って疑問に思う遠距離STORY。
まあ細かいことは気にせず(何

彼の先のストーリーはともかく、ここだけを見ると登場キャラや台詞以外、つまり話の流れはノンフィクションだったりします(ぇ
誰のだって? まあそれは置いといて(ぇ 最初に書かれてる問いかけは、自分が思ったことだったりします(何
遠距離恋愛を体験したことがある人は、必ず悩んだことがあるはずです。
えっ? いない? ……まぁそれが普通ですわ(ぇ 色んな人がいるため、色んな考えがあるでしょう。
ふと、自分ならどうするか考えてみてはどうでしょう?

以上。No.3 叶わぬ恋と知りながら でした。


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