〜込み上げる想い〜


−7−


2004 3月某日

 あれからあっという間に3ヶ月が過ぎた
 私たちの結婚式の2次見たいな感じで祝ってくれたり(私は記憶にないんだけど、酔っ払ったらしい)
 して、シュウは2月からキャンプ宮崎ってことで、遠征に出かけ、私に出来たことといえばシュウの欲しいものを
 ちょっと頑張ってやったくらいで、あんな志を持っていながらも実際は全くあの日の私と変わらないままでいた

「(はぁ……結局私ったら何も出来てなかったってことかな……)」

 ふと、一人になると出る弱気の虫……弱気とちょっと違うかな……自分で助けてあげられないもどかしさ……
 かな

ピンポーン

「はーい、少々お待ちください」

 誰だろうか……今日は別に友達も来る予定もないはず……
 まあ考えてもしょうがないことなんだけど……
 はいはいただいまとそんな感じで玄関の戸を開けるとそこには思いもかけない人が
 そこにはいた

「よぅ、どした鳩が豆鉄砲くらったような顔して……ただいま……」

「シュ……シュウ……そっか……キャンプ終えて帰ってきたのね……おかえりなさい」

 そうするとしばらくキャンプでの会話で華がさいたが
 しばらくするとシュウは話題を変えて唐突にこんなことを言い出した

「ありがとうな……この本贈ってくれて……」

 それは私がちょっとでもシュウの気が紛れて助けになればと思って贈った本だった
 私自身は出来ればチョコが良かったんだけど、無理そうだったからそれにした

「ううん、ごめんねこんな物でしか私やりようがなくて……」

「そんなことねえぞ。十分助けになってるぞ。大方お前は、オレの支えになってないんじゃないか
って思ってるだろうけど、オレは好み知ってるだけでも十分過ぎるほど嬉しいぞ」

「ごめんね……余計な気使わせちゃって……」

 それでもシュウは優しくてそんなことないと言ってくれる。そんなところがたまらなく好きで
 やっぱりこんな優しくて実のところ強いところに惚れたんだなと心底思う

「ところでちょっといいか?」

 とそこへシュウが何かいいたそうだ……どうしたんだろうと思いながら促した

「どうしたの?」

「今日ちょっと公園一緒行って欲しいんだ。ちょっと車で行ったらあるだろ?」

「ええ、あるわね……そこで何かあるの?」

「まあ……な?」

「今日中じゃないとダメな話」

「そうしてくれると助かるんだけど……無理か?」

 シュウが申し訳なさそうに話す。そんなに申し訳なさそうな顔しなくていいのに
 もちろん私はいつものように、優しく答えてやった

「今日は何もないし、暇だったし、それにシュウが頼んでるんだから
断る理由もないし私は嬉しいだけ」

「そっか……ありがと。じゃあ悪いけど今から行くか」

「うん」

 それからシュウは急いで車に駆け込んでいった。私も追うように走った
 それから車を飛ばしすぐに着いた

「見たところ何の変哲もない公園だけど……」

「お前は本当にすぐに結論出そうと焦るんだから……
大丈夫だよ。オレがくだらないことでお前を連れ出したことなんてないだろ?」

 ま、そのことに関しては当たっている。全部私が喜ぶか、私のためを思ったことくらいしか記憶が無い
 しばらくすると、何人だろうか。人影が見えてきた

「おい、おせーぞ。何分かかってんだよ」

「わりぃわりぃ、久しぶりだったからちょっと遅くなってしまったんだよ」

「???? 兄さん……それに……」

 兄さんの後ろにも2・3人いた。私に気付くとひょっこり出てきた

「よっ、相変わらずだな法子ちゃん」

「田先輩………」

「法子ちゃん、相変わらず可愛いな♪オレの嫁……ぐはっ!」

「ぐはっってあんた……」

 シュウが呆れてるのをよそに兄さんをなだめた

「兄さん、そのくらいにしなさいよ。山本先輩のいつものあいさつでしょ。
それにそんなことで私を待ってたわけじゃないんでしょ」

「ま、それもそうだが、それはそうとお前は誤解してるぞ」

「ん、何を?」

「これを提案したのはこのバカだ。」

 といいシュウを示していることはすぐわかった。だから兄さんも説明せずに話を続けた

「こいつがな法子の好きな場所に連れて行きたいって言ってくれてなまあ兄オレとしては嬉しかったから
暇そうなこいつらを誘ったってことだ」

「それで、シュウ……その私の好きな場所って……」

「だから、行けば分かるって……」

 そういわれて私たちは結局シュウの案内のもと進むことになった

「そろそろかな……」

 そういわれてしばらくすると、目を疑う光景が広がっていた

「さてと、ついたぞお姫さん」

 そう、兄さんが言うと

「う……うわぁ……こ、これ……」

 そこにはまばゆいばかりの満開の桜が散りつつも美しい姿を映していた

「さてと、俺らは本意じゃないが邪魔だし、周一。翔。特に翔は別府学園で有名だった坂道ダッシュをしてもらうぞ」

「な、なんでじゃ?」

「オレの嫁なんて口が裂けてもいえないようにだ」

「………」

「じゃあ、行こうか」

「ぎゃああああああ!!!!」

 山本先輩の断末魔の声が聞こえてあっけにとられたが……

「まっ、あいつららしい気を使ったやり方じゃないか。なんだかんだ言って楽しそうだったし」

「それでも兄さんこんなにしなくてもよかったのに」

「そこがあいつらしいじゃないか」

 そうしてしばらくすると現実に戻される。頬を桜の花びらが触れた

「シュウ………覚えてくれたんだね……本当にありがとう」

「ここ、結婚してからずっと行きたかったんだ……お前いってたじゃないか。いつか
大好きな桜をみんなと見たいって……それが今日はしかないと思ったんだ……」

「シュウ……そんな約束まで………なのに私ったら全然役に立っていない……」

 自責の念でいっぱいだった時、シュウの手のひらがそれを和らげた

「そんなことない……お前はいろんなことを教えてくれた、そして数え切れないものをオレに残してくれた
それにな、あせることなんてないんだ……時間はたっぷりある。夫婦なんだ、最初から完璧に行く訳ないだろ
あいつも言ってたように力をあわせて、お互いが頑張るしかないんじゃないかな……」

 た、確かにそれはそうかもしれない。……私ったら何を考えてたんだか……思い上がりも甚だしかった。
 完璧にしよう……? そんなこと最初からできるわけないじゃない


「私にも、時間をかけたら出来るかしら?

「出来るさ、それにお前には、隣にいるだけで、人を安心させる力がある。それだけでも立派なことだろ
お前も、まだまだって思ってるんだろうけど、オレもだよ。オレだってまだ全然未熟。だからお互い一歩ずつ進めれば良いと思う
多少の遠回りをしても、いやしたとしてもそれがオレには力になると思うんだ。」

「……そうだね、兄さんの言うとおり一つ一つしていけばいいよね……?」

「ああ、もちろん、お前の言うとおり進歩も大事。だけどな焦んなくて良い……ほら、そんな顔するな
してちゃあせっかく満開の桜もお前も台無しだぞ」

「そ、そうだよね……シュウ? 今は満足に出来るといえばこうして寄せ合うくらいしかできないけど、いいかな?

「ああ、今だけはこうして頑張っていこう」

「うん………」

 2人っきりで桜の下いた心地いい気持ち。
 今は確かに私たちは一歩を踏み出せていないほど進めていない。でもシュウの言うとおり焦る必要なんて何もない。その程度で揺るがないのはあの時が証明している
 結果はあとからついてくるもの今はせめて私が好きな桜が散り行くこの時を楽しもう。シュウと一緒にいる温かく休まるこの至福の時を……
 ようやく序章が始まったと言うところかな……今はこれがすばらしいエピローグに繋がることを祈るべく
 シュウと肩を寄せ合い笑い合っていた。私に出来ることは今はこれしかないのだから





FIN






まあこんな感じで好きになったり嫌いになったりと恋愛していて、こいつらもそれなりに恋愛して成長したのだなと思ってもらえれば幸いです。


今回書くに至ったのは、法子の表だけではなく裏も書いてみようと思ったのが理由です。

この2人がおっしゃっているようにまだまだこの2人はひよっこで成長段階あるお2人ですが
そんな悩み苦しんでいる仲でも協力して助け合うということを頭に入れて
これからもこの2人は愛し合いながらも頼らないで自立した出来た夫婦になるために頑張るというひとつのキーワードとしてこの2人を見守ってください。
作者自体もどうしようかって思ってるわけですから気長に見守ってください^^

                                       AYAより





全7話に渡って更新してきました込み上げる想い、いかがでしたでしょうか?
途中、私の編集で至らぬことをしてしまったこともあり、未だにそこは引っかかるのでやっぱ直そうかなっと思いつつ
まだ指摘されていないのでそのままにしているっていう現状(苦笑
でも誰も気づかないうちに直っているかもしれません……

小さく書かせて頂きましたが、他の方の作品を編集などなど任せてもらった分、やっぱり凄く気を遣いました。
初めての試みで最初の方は余計なことをしていましたが、後半は思いとどまってタグつけとスペースを入れることだけやったのですが
やっぱその方が執筆者(AYAさん)らしさが出てるなと感じました。
決して良いことばかりではなく、相手の嫌なところも見て、しっかり相手を分かった上で2人で歩んでいこうという、そんな印象を最後に持ちました。
相手の良いところばかり見ようとして嫌なところから目も背けるのは相手を知ろうとする行為ではなく単なる「無関心」だと言うこと
相手を疑って悪いところまで分かろうとすることが相手を知ることだと言うことが、この作品を通じて分かることではないかなと私は思います。
あ、この言葉は某漫画の受け売りなんですけどね(マテ
そんなわけで、AYAさんによる投稿作品『込み上げる想い』いかがでしたでしょうか?
楽しんでもらえたら、AYAさんも私も嬉しい思いです。

                                                 サス






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