Fourteenth Melody―人は人に依存し生きていく―


大地「お〜お〜しくじるとはクロフォードらしくないねぇ」

リエン「邪魔が入ったんだよ」

大地「邪魔ねぇ。なんでソイツまでやっちまわなかったんだ?」

リエン「………………」

大地「クロフォード、もう二度と自分が助かるなんて思うな。お前はもう終わってるんだよ」

リエン「……分かってる……次の指示は?」

大地「そうだねぇ。もう一度始末を頼みたいけど、警戒しちゃっただろうし……慎吾と接触してみようか?」

リエン「接触するだけか?」

大地「お前が慎吾と会ったんなら、向こうはお前の情報を探すはずだ。俺に繋がってるってわかってるからな」

リエン「……話が読めないな。それだと接触はマイナスじゃないか?」

大地「向こうにとってはプラスかもよ。私は別に悪魔じゃない。必死に追ってくるヤツラに手を差し伸べてやろうと言うのだよ」

リエン「あぁそう」

大地「居場所以外は素直に答えてやっていいよ」

リエン「アヤセシンゴの姉の事件は?」

大地「キミが知ってる程度なら知られて構わない。言っとくけど、いくら慎吾でもキミの運命は変えれないよ」

リエン「……何回言わせる? 俺は……」

大地「ふむ……まぁ良いよ。君に夢を見せることぐらい容易いからね」

 そういい残し、リエンの前から立ち去る。

リエン「……アヤセダイチ……どんな悪魔よりも恐ろしい男……」


 それは秋季大会が終わって秋風から肌寒い冬を感じる風に変わりつつある、ごく普通の日に起こった出来事。




慎吾「………………」(LP:3000)

真崎「………………」(LP:1000)

連夜「………………」(LP:4200)

佐々木「………………」(LP:2600)

久遠「いつまで睨めっこしてるんだよ」

慎吾「黙ってろ!」

久遠「あい」

真崎「(く……このまま黙ってるのもシャクだな……)」

連夜「(へへ、来いよ。真崎)」

真崎「え〜い、このまま黙ってられっかー!」

慎吾「待て、真崎!」

真崎「レッド○イズの攻撃!」

連夜「リバースカードオープン、聖なる○リアー・ミラーフォー○」

真崎「な、何――ッ!」

慎吾「アッホ……全滅じゃねーか」

連夜「良し、チャンス! 行くぜ、ブラッ○・マジ○ャンの攻撃。真崎にダイレクトアタック!」

真崎「へへ。甘いぜ、手札よりクリ○ーを捨てることによってダメージをゼロにする」

連夜「なんだと!?」

慎吾「良し、偉い。俺のターン、ドロー」

佐々木「リバースカードオープン、時の○印。このターンドローは無効だ」

慎吾「なっ!」

佐々木「俺のターン、モンスター1体を生贄にデー○ンの召喚を召喚」

真崎「ダジャレか」

佐々木「違うわ! デー○ンで真崎にダイレクトアタック」

真崎「ぐわっ! やられた」

連夜「続いて俺のターン。ブラッ○・マジ○ャンと守備表示のホー○ーエルフを攻撃表示に変更し攻撃!」

慎吾「チィ……負けたか」

シュウ「決着ついた?」

連夜「おう。俺と享介が勝った」

司「ところで何してんの?」

連夜「見て分からんか? 遊○王だよ、DM。知らんか?」

司「そうじゃない。部室で練習もせずなんで皆でカードゲームしてるんだって言ってるんだよ」


国定「トラップ発動、神の○告!」

上戸「何ぃ!?」


司「先輩たちも普通にやってるし……」

連夜「来年の夏まで大会らしい大会ないからな。たまには息抜きだ」

司「おいおい……」


慎吾「さてと、負けたし俺は帰るかな」

連夜「何だよ、決勝まで見ていけよ」

慎吾「悪いが用事があってな」

連夜「朝森先輩とか?」

慎吾「まぁな……」

連夜「ふ〜ん」

慎吾「……言っておくが、俺とアイツはお前らが思ってるような関係じゃない」

連夜「何!? 俺はただの仲の良い先輩・後輩だと思っていたのにそれ以上の関係だと!?」

慎吾「物は言いようとは良く言ったもんだな」

真崎「行け――ッ、久遠、森岡ぁ! 先輩たちなんてやっつけてしまえ」

シュウ「よっしゃ〜ちなみに俺はシュウだかんねー」

連夜「真崎は良いのか?」

慎吾「今日はな。楽しんでるし、やらせておけ。秋季大会のこと何気に気にしてっから」

連夜「そっか。じゃあな」

慎吾「ああ」


・・・・*


瑞奈「お〜そ〜い〜で〜す!」

慎吾「俺にも都合があるんだ。別に良いだろ、あんたが好きで待ってたんだ」

瑞奈「別に好きで待ってませんよ。せっかく綾瀬さんとのデートなのに」

慎吾「デートじゃない。この間のお礼に付き合ってやるだけだ」

瑞奈「じゃあ十分デートじゃないですか。ほら行きますよ」

慎吾「(これだからめんどくさくて嫌なんだよな……)」

瑞奈「ほ〜ら、早く歩いてください」

慎吾「へいへい……」


リエン「女を連れて歩くとはいいご身分だな。アヤセシンゴ」

慎吾「な、リエン・クロフォード!?」

瑞奈「何ですかアナタは!」

リエン「そうヒステリックになるなよ、カワイイお嬢ちゃん」

瑞奈「なっ……照れるじゃないですか」

慎吾「(その前にリエン・クロフォードって俺とタメだぞ)」

瑞奈「あなたは、確かリエン・クロフォードさん。別名御柳梨遠。埼玉遊楽館高校に所属するでしたね」

リエン「ほぉ良く知ってるじゃないか。流石ですね」

瑞奈「………………」

慎吾「(ん?)」

瑞奈「それよりアナタがなんのようですか?」

リエン「たまたま見慣れた顔がいたから声をかけただけだ。まぁアヤセシンゴの方は聞きたいことたくさんあるだろうけど」

慎吾「……聞けば答えてくれるのか?」

リエン「どうだろうな。内容によるが」

慎吾「綾瀬美佳の事件に関して、綾瀬大地は関わっているか?」

リエン「……YES」

慎吾「お前は?」

リエン「NOだ」

慎吾「(ふ〜ん……)今、綾瀬大地はどこにいる?」

リエン「それに関しては答えるなと命じられてるからな」

パチンッ

慎吾「あんた最近、綾瀬大地と会ったんだな」

リエン「なんだと?」

慎吾「命じられたって言うのがその証拠だ。まさか手紙で命じられたなんて言わないよな」

リエン「さぁな。手紙にしろ電話にしろ伝える方法はいくらでもあるさ」

慎吾「バカ言え。綾瀬大地が手紙という物的証拠を残すわけがない。電話だって掛ける場所によっては特定される恐れもある」

リエン「……まぁいい。会ったよ、それが?」

慎吾「アンタ、何でそこまで綾瀬大地の命を受ける? あの男がどんな男か……」

リエン「わかっている。わかっているから俺はあの男の言いなりなんだ」

慎吾「お前……過去になんか……」

シャキッ

リエン「俺の過去に触れると言うなら、それなりの覚悟できてるんだろうな?」

慎吾「へ、バカかお前。こんなところで人一人殺られてみろ。すぐ捕まるのがオチだぜ」

瑞奈「やめてください。この人は本気でやりますよ!」

慎吾「…………答えろ。綾瀬大地の言いなりの理由をな」

リエン「貴様!」

ビッ

瑞奈「綾瀬さん!」

ガシッ

慎吾「し、椎名探偵……」

シイナ「こんな物街中で振り回すんじゃない」

リエン「またアンタか。どうして俺の邪魔をする!」

シイナ「邪魔? 私はただ人助けをしてるだけだけどな」

リエン「チィ……アヤセシンゴ、覚えてろよ」

ドンッ

慎吾「ッ……(ん?)」

瑞奈「綾瀬さん! 大丈夫ですか!?」

慎吾「あぁ。ぶつかっただけだ。椎名探偵、ありがとうございました」

シイナ「無事で良かった。しかしキミらしくもないな、わざわざ挑発するなんて」

慎吾「えぇ……ちょっとムキになってました」

シイナ「リエン・クロフォード、先日から尾行してるんだが、やっぱ綾瀬大地に何かしらの指示を受けてるな」

慎吾「え?」

シイナ「綾瀬大地にとって敵対する人物を消すこと。これがリエン・クロフォードの役目みたいだ」

慎吾「じゃあさっきも俺を消すために?」

シイナ「さぁ? 向こうも苛立ってたし、違うんじゃないかな? ホントにそうなら場所を選んでる。彼女だって目撃者になるんだ」

瑞奈「………………」

慎吾「コイツもやっちまえば良い。そうじゃないんですか?」

シイナ「まぁ1回そうしてしまえば、歯止めが利かなくなるだろうがリエン・クロフォードは違うと思う。 どこかで抑えがあるはずだ。それが『綾瀬大地の指示』かも知れないがな……」

慎吾「椎名探偵はリエンについてどこまで知ってます?」

シイナ「ん〜過去については少し調べたよ。後は綾瀬大地との繋がりくらいかな」

慎吾「何でアイツ、綾瀬大地の言いなりに?」

シイナ「うむ。恐らく彼は綾瀬大地に助けられ、そして命を握られているんじゃないかと思う」


 それは慎吾にとって理解を超えた話となった。



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