Fiftieth Eighth Melody―朝里野球大会、二日目―
朝里野球大会、二日目。今日は午前1試合、午後1試合が行われる。
まずは桜花は神緑大学との一戦となる。
慎吾「一応先のこと考えると勝てば朝里か国玉となんだよな」
姿「リベンジする意味でも国玉ともやりたい気がするな」
久遠「でも漣にも聞きたいことはあるしな」
慎吾「複雑だな」
透「でも勝たな意味ないで」
慎吾「そりゃ、そうだ」
木村「準備はいいか?」
慎吾「いつでもOK……だろ?」
全員「おう!」
木村「行くぞ」
木村が仕切ってる中、こういう場面で仕切る男が嫌に静かだった。
慎吾「大丈夫か、森岡」
シュウ「ん? 大丈夫だけど?」
真崎「辛気臭い顔すんなよ。勝ってやろうじゃん」
シュウ「そう、だね」
慎吾「無理そうなら代えるぞ?」
シュウ「いや、やる!」
慎吾「OK。んじゃ行くか」
−午前の部−
朝里ナインスターズ | VS | 国立玉山高校 |
神緑大学A | VS | 桜花学院 |
赤槻高校 | VS | 東京連合軍 |
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慎吾「ふぅ、何とか勝てたな」
真崎「ふぅってお前がやってるわけじゃないだろ」
慎吾「見てる分にも疲れるんだよ」
久遠「午後はメインスタジアムでやるんだろ?」
慎吾「そうそう。確か国玉の連中がやったはずだけど」
鈴村「負けたよ、残念ながらな」
慎吾「おっ、噂をすれば」
飛騨「お前らは勝ったのか?」
真崎「ま、当然だな」
姿「お前らとは違うんだよ」
飛騨「お前ら、秋季俺らに負けたんだぞ!?」
佐々木「まぁまぁ」
漆原「そういやさ、漣に会ったぞ」
全員「なんだと!?」
漆原「うぉ、びっくりした」
慎吾「どこで会ったんだ?」
鈴村「朝里のチームで参加してたぞ」
飛騨「俺ら、そこに負けたんだけどさ」
慎吾「マジか? やっぱり姿が見たのは本当だったんだな」
姿「信じてなかったんかい」
真崎「おっ、じゃあ勝ち進めれば会えるわけか」
慎吾「勝ち進まんでもいいだろ」
真崎「お前さ、こういう場面で探せばいいとか言うなよ、萎えるわ」
慎吾「いや、次の午後の試合、朝里とだし」
真崎「もっと早く言えよ!」
姿「いや、お前も確認しとけよ」
慎吾「ま、聞きたいこともあるしな。試合前に聞くか」
鈴村「そういや、あいつ学校辞めたって言ってたけど」
慎吾「そうそう。夏休み終えて急にな」
達川「理由は?」
慎吾「さぁな」
達川「さぁなって……」
真崎「俺らも良く分からないんだ」
真田「まぁ、そうだよな。今まで本人と話す機会すらなかったんだろ」
松倉「そうなんだよな」
慎吾「全ては本人と会ってから……だな」
鈴村「よくわからないけど、何か分かったら言えよ。俺らも気になってんだからな」
慎吾「了解」
国立玉山の面々を別れを告げ、午後の試合に備える桜花。
午後の試合は連夜がいる朝里との一戦。どんな試合となるのか?
−午後の部−
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残念ながら本戦2回戦で敗退してしまった桜花。
だが高校生チームとしては十分すぎる結果ともいえる。
木村「良い経験になったな」
慎吾「そうだな。メドがたったともいえるしな」
姿「…………ん?」
姿を見ながら言い、そして笑みを浮かべる。
中学から姿の苦悩を知っているだけに慎吾にとっては自分のことのように嬉しかったりもした。
シュウ「でももう少し勝てそうだったね」
慎吾「ここ一番の集中力って点ではまだまだかもな」
真崎「ま、その辺の試合勘は練習試合重ねていこうじゃないか」
慎吾「……ま、もう少しで対外試合禁止期間に入るけどな」
真崎「何それ?」
慎吾「大会前に言っただろ。秋季大会終了〜センバツ出場校決定まで対外試合は禁止されるんだよ」
真崎「あぁ、そうだった」
透「ふぅん、そうなんや。知らんかったわ」
慎吾「ま、そんなことだろうと思ったけどな」
姿「試合以外でも出来ることはあるだろ」
司「そうそう。この期間がある意味、勝負だろ」
慎吾「そういうこと。そして戻ってきてもらわなきゃいけないやつもいる」
松倉「…………だな」
姿「………………」
多くの経験を経た、桜花の朝里野球大会が終わった。
大会は明日3日目を迎える。果たして優勝するのはどのチームか?
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