Best Friends

−2−


 一人反省会をサボった翔は連夜たちが目撃したとおり馬紀と会っていた。
 なぜ馬紀が今日練習試合をすることを知っていて、見に来たかと言うと……



前日−喫茶店にて進に声をかけられたとき−

馬紀「へ〜。じゃあみんな、野球やってるんだ?」

進「そう。野球興味ある?」

馬紀「父が熱狂的な西武ファンだから、結構影響受けれてる部分ありますよ」

進「へぇ〜。あ、そうだ。明日、俺ら練習試合するんだけど、見にこない?」

馬紀「あ、見たいかも。どこでやるの?」

進「有舘中学って分かります?」

馬紀「うん」

進「俺らそこの学生なんだけど、そこのグラウンドで十一時前後かな?」

馬紀「分かった。じゃあ見に行くね」

進「ん、待ってる。さてと、そろそろ戻るかな」

馬紀「あぁ、仕事に戻らないと! 怒られちゃう」

進「(今更仕事もない気がする……マスターもレンたちと話してるし……)」



 と言うことがあったと連夜に伝えると……

連夜「どういうことや?」

進「なんか話の流れで……」

龍「でもさ、それじゃ翔と親しくなる云々じゃなくね? 第一進のほうが進展してるっぽいじゃん」

連夜「……龍、なんか悪いもん食ったか?」

龍「俺だってそれくらいの推理できるわ!」

進「ってことは支払の時か、何かあったのは」



 進の読みどおり、現に支払の時に翔は馬紀に話しかけられていた。

−前日−
馬紀「高波、翔さんですよね?」

翔「えぇ! そうですけど、なんで僕の名前を!?」

馬紀「進くんから聞いたの。明日、試合あるんだって?」

翔「え、えぇ!」

馬紀「応援に行くから頑張ってね」

翔「は、はいっ!」


マスター「あ、三浦さん。今日はもう上がっていいよ」

馬紀「え?」

マスター「試験近いんでしょ? あ、翔。送っていけ」

翔「な、なんですとぉ!?」

マスター「ついでだ。頼むぞ」

馬紀「ふふ。お願いしていい?」

翔「そらぁもちろん!」


 それで馬紀を送っていく途中、話が弾んで仲が多少親密になってもおかしくはなかった。
 ここで練習試合終わったらデートの約束を取り付けた。なぜ馬紀がいきなり翔のこと受け入れているのかと言うと……


連夜「え、何か? お前、アッサリばらしたのか?」

進「滅相もありません。ただ好意を持ってるようですよ、と」

連夜「たわけ―――ッ」

龍「………………」


 進が昨日話しかけた時に翔のことを話したらしい。好意を持ってると言われたら、少しでも意識するのが人間だろう。
 ま、相手によるだろうが、そんなこんなで進の一言から翔と馬紀の間柄は急接近していた。

連夜「しゃーない。ミーティング中止。行くぞ、龍、進」

龍「どこに?」

連夜「後を追うに決まってる」

龍「ですよね」

進「と言うことで監督、俺ら3人急用ってことで」

監督「通るワケねーだろ」

進「ですよね」

連夜「あぁ? 良いじゃねーか。試合に勝ったんだし、お前ずっと小説読んでるだけじゃねぇか」

監督「教養は大事だぞ。それに勝ったからこそ反省会をやるんだ。見落としてる部分もあるだろ」

連夜「ねぇよ、そんなもん。第一、試合見てないお前が分かるのかよ」

監督「…………良し、じゃあ今日はこれで終わりだ」

連夜「よっしゃ、行くぞ。龍、進!」

龍「お、おう。(恐ろしく威厳のない監督だな)」


・・・・*

馬紀「五回までしか投げてなかったけど、調子悪かったの?」

翔「いや最後まで行けたけどレンってやつに無理やり交代させられたんですよ。まったく……」

馬紀「でも良いピッチングだったよ。相手のバッター、全然打ててなかったじゃん」

翔「ははは。それはどうも」

馬紀「……ねぇ翔くん……あたしさ……」

翔「へ?」


高校生A「おや〜馬紀ちゃんじゃん。お隣は彼氏かな〜?」

高校生C「見たところ中坊じゃん。今度は中坊捕まえたの?」

馬紀「ほっといてよ」

翔「………………」

高校生A「ほんと魔女だね〜。ちょっと可愛いからって調子乗ってんじゃない〜?」

高校生C「ははは〜。まったく、今時の高校生は怖いね〜」(←こいつも高校生)

翔「何がなんだか分からないが、通れないからどいてくれます?」

高校生A「あ?」

翔「はっきり言って邪魔! です」

馬紀「しょ、翔くん!」

高校生A「ん〜いかんなぁ。中坊は中坊らしく家で勉強してなきゃ」

高校生C「ま、俺らが中坊のときは勉強なんてしてないけどね」

翔「すいません、漫才ならよそでやってくれます?」

高校生A「漫才なんてしてねーは!」

高校生C「そうだそうだ! ちょっとネジが一本外れておかしいだけだ!」

高校生A「お前、ちょっと黙っててくれ」

高校生C「ところで何で俺はBじゃなくてCなの?」

高校生A「シラーン!!!」

翔「………………」

高校生A「と、とにかく! そいつからは手を引いた方が身のためだぜ」

翔「黙れ。アンタには関係ないことだ」

高校生A「んだとっ!」

バキッ!

馬紀「翔くん!」

翔「馬紀さん……いまのうちに……」

高校生A「かっこつけてる場合かよ!」

ガスッ!

高校生C「俺ら別にこんな役やりたくてやってるんじゃないぞ!」

ドゴッ!

高校生A「お前、ほんと黙って―――」

バコンッ!

高校生A「ッ……」

馬紀「え?」


連夜「お、当たった」

龍「スゲーコントロール……」

進「さすがレフトアローって呼ばれるだけはあるな」


馬紀「す、進くんたち?」

翔「え?」


高校生A「ど、どこから投げやがった!」

高校生C「シラーンッ!!!」

高校生A「いや、探せよ……」


・・・・*

 時はちょっと戻って、翔たちが絡まれる前。

連夜「あのさ、結構時間たってるからさ、どこにいるか分からんやん」

進「そりゃあね。できれば学校出る前に気づいて欲しかったな」

龍「なんでこっち来たの?」

連夜「強いて言うなら神の導き」

進「早い話、勘だろ」

連夜「だが、俺の勘も捨てたモンじゃないな」

進「あん?」

連夜「見ろ。いたぜ、ちょっとピンチだが」

龍「ほんとだ。あの制服……埼玉遊楽のか?」

進「明らかに絡まれてるぞ。助けるか?」

連夜「いや〜。ここは翔がビシッとやっつけて馬紀さんの気持ちをだな……」

進「すいません、高校生二人相手に中学生が勝てると思えないんですけど」

連夜「俺なら勝てるが?」

進「一般人は空手なんて習ってねーよ」

龍「それにさ、すでに翔のやつ殴られてんだけど?」

連夜「あっと……やっぱダメかぁ」

進「当たり前だ!」

連夜「しゃーない。龍、ボールあるか?」

龍「ボール? 野球ボールなら持ってるけど」

進「なんであるんだよ……」

龍「いや、グラブ今日使ったから持ち帰って手入れしようと思ってな。偶々それに入ってただけだ」

進「なるほど。っで、どうするんだ?」

連夜「投げる」

進「………………」

龍「………………」

連夜「なんで二人とも鳩が豆鉄砲食らったような顔をしてるんだ?」

進「当たるわけねーだろ!」

連夜「やってみなきゃわからん!」

進「………………」

龍「まぁ幸い、車通りも少ないしあの女の人に最悪当たらなきゃ良いんじゃね?」

進「車には気をつけろよ。事故になりかねんぞ」

連夜「だいじょぶだいじょぶ。行くぜ!」


ビシュウゥゥン!!!


バコンッ!


高校生A「ッ……」

馬紀「え?」


連夜「お、当たった」

龍「スゲーコントロール……」

進「さすがレフトアローって呼ばれるだけはあるな」

連夜「と、とにかくやっちゃったもんはしょうがない。助けに行くか」


 と、3人サイドはこんな感じであった。

・・・・*

高校生C「いたっ! あそこから投げたんだ!」

高校生A「バカ言え。あそこから投げて当たってたまるか」

高校生C「それより危ないぞ!」

高校生A「あん?」

翔「今までのお返しだよ!」

バキッ!

高校生A「クッ……(バタッ)

高校生C「むぅ、やられてしまってはしょうがない。僕はここで御引取り願いたいんだがどうかな?」

翔「あ、どうぞ。お帰りになってください」

高校生C「良し! ではお二人ともお幸せに!」

ピューンッ!

翔「はぁ…………(ズキッ)痛ッ」

馬紀「大丈夫? ゴメンね、私のせいで」

翔「あ、いや……馬紀さんのせいじゃないし……(ズキッ)

 それから馬紀はハンカチを取り出し、翔の切れている口に当てる。

翔「な、な、なにをっ!? (ズキッ)ッ!」

馬紀「ほら、動かない!」

翔「はい……」

馬紀「わざわざケンカ売るような口調で話さなくても良かったのに」

翔「いや散々失礼なこと言ってたからつい……」

馬紀「こう言っちゃなんだけど慣れてたんだけどな。でも嬉しかった、ありがと」

翔「いえ……痛ッ」

馬紀「あ、ゴメンナサイ」

翔「はは、大丈夫ですよ。それより何でアイツらに絡まれるんです? しかも一回じゃないんでしょ?」

馬紀「ん〜……実はあいつらの中心にいる、まぁリーダーってやつかな? そいつと昔、付き合ってたんだ」

翔「昔?」

馬紀「そ、春先に別れてね。それからああいう風に言ってくるように……」

翔「そうなんですか……」

馬紀「まぁ慣れたけどね。手を出してくるわけでもなさそうだし」

翔「すいません、出されましたけど」

馬紀「それは翔くんが男だからよ。私には嫌がらせしかしてこないし」

翔「損な役割ですな、男って」

馬紀「ふふ、でも守ってくれて頼もしかったよ。進くんの言ったとおりだな」

翔「す、進?」

馬紀「翔くんは何があっても好きな女性のこと守りぬく。信じれる男ですよってね」

翔「…………へ?」


連夜「お前、そんなこと言ったのか?」

進「ま、こればっかりはホントのことだしな」


翔「…………お前ら、いつからいるねん!?」

連夜「いや、助けに来たんだけど翔が決着つけてるし、二人の世界に入っちゃってるから黙って聞いてようかと思ってな」

龍「カッコよかったぞ。翔!」

進「やっぱ思ってた通りの男だったな」

翔「てめぇら! (ズキッ)ッ……この……!」

連夜「じゃ、お大事に。馬紀さん、悪いけどそいつのことよろしくね」

馬紀「うん、任せて」

翔「お前ら……覚えとけよ……」


 そんな翔を尻目に3人は嬉しそうに帰っていった。今後、翔を茶化せるネタができたと喜んでいるんだろう。

馬紀「ふふ。いい人たちだね」

翔「いや、良くないですって」

馬紀「どこが? 一応、翔くんのこと助けようとしてくれてたし」

翔「どうせこれから俺のことからかう気満々ですよ、あいつら」

馬紀「からかう?」

翔「そ。馬紀さんとの関係であることないこと……ハァ……」

馬紀「私との関係?」

翔「あ、いや、それはあいつらが勘違いして言ってくるだろうと言う予想であって! 別に俺はその!」

馬紀「ふふ。じゃあ本当のことだったらからかわれても良い?」

翔「はい?」

馬紀「……翔くん、良かったら私と付き合ってくれない?」

翔「なんですとーーーっ!?」

馬紀「大げさだよ……」

翔「え、俺なんかで良いので?」

馬紀「うん。十分だよ」

翔「……俺でよければ……」

馬紀「よろしくね」

翔「はい……」


・・・・*

−数ヵ月後−


 その後、翔は馬紀と付き合ってることを連夜たちには内緒にしてきた。
 予想通りからかってきたが、綺麗に流したり時には慌てるフリなんかをして見事に騙してきた。
 そして最後の大会も終え、見事結果を残した連夜たちは次は進学を決める時期に迫っていた。

連夜「迫ってきたと言うか遅いくらいだけどな。普通三年上がったら意識するし、夏休みあけたら試験勉強一本だぞ」

進「何言ってんの?」

連夜「独り言。気にしないで★」

進「………………」

龍「ウッ! 気持ち悪くなってきた」

連夜「ウルセーッ!!!」

翔「………………」

進「どうした、翔。さっきから黙って」

翔「……あのさ、俺、お前らに言っとくことあんだけど」

進「なんだよ、改まって」

翔「俺、帝王受けないわ。横浜海琳に行く」

進「何ッ!?」

龍「おいおい正気か!? 横浜海琳は帝王以上に進学校だぞ!」

連夜「野球面でも勉強面でも翔は帝王の方がいいと思うけどな」

進「そこかよ! みんなで帝王に行こうって約束じゃないのかよ!」

連夜「まぁそれもあるが、みんなどこの学校いっても一年からスタメンになれる力はあるだろ。ぶっちゃけた話」

進「ほんとぶっちゃけたな」

連夜「だから翔が高校変えるのに反対はないよ。ただ翔は勉強がな……」

進「…………レン、さてはお前も止めようとしてるだろ?」

連夜「…………翔、なんで横浜海琳なんだ?」

進「おいっ!」

翔「…………え?」

龍「なんだ、お前ら。さっきから挙動不審だな」

翔「えっとな……そう! お前らを敵にするのも面白いんじゃないかなって思ってさ」

連夜「なるほどね。っで、本当は?」

翔「……何が?」

連夜「横浜海琳に行く理由。俺が想像するにお前さ、横浜海琳じゃなくてもいいだろ?」

翔「いや、俺は横浜海琳に行きたい!」

連夜「正確には神奈川……いや、横浜の高校だったらいいはずだ!」

翔「!!!」

進「え? どういうこと?」

連夜「少しは頭を使え、タコ」

龍「今言ったの、進だぞ?」

連夜「…………進、馬紀さんのプロフィールも一回思い出してみ?」

進「プロフィール? 俺が聞いたヤツか……」

龍「進には優しいな、おい」

連夜「彼女、横浜の大学受けるんだろ?」

進「……あぁ、なるほどね」

連夜「お前、馬紀さんとできてたな?」

翔「ばっ! 違うわ! その……好きな人、追いかけて何が悪い……」

連夜「ふ〜ん。俺、昨日お前と馬紀さんがキスしてるの見たけど?」

翔「んなわけねーだろ! 昨日はしてねーもん!」

龍「………………」

進「………………」

連夜「………………」

翔「そんなのに引っかかるわけねーだろ!」

龍「(引っかかってるつーの)」

進「(分かりやすいなぁコイツ……)」

連夜「そっか、昨日『は!』してないか」

翔「おう! …………いや、昨日『も!』な」

連夜「ふ〜ん……で、いつから付き合ってんだ? あ?」

龍「(野球の時にこんな威圧感できないかな?)」

翔「あの高校生に絡まれたときから……」

連夜「お前、こんな長い期間、俺らを欺いて来たのか!」

進「欺かれてきた俺らにも問題あるけどな」

龍「良いじゃん。どうせ早かれ遅かれ付き合うだろうって予想してたんだし」

連夜「そこじゃねぇ。素直に言わないことに対して怒ってるんだ」

進「自分が彼女できないからじゃねーの?」

連夜「なんかいった?」

進「いや、何も」

翔「と、とにかく! 俺は横浜海琳に行く!」

連夜「まとめてんじゃねーよ」

翔「すいませんでした」


 人は想う人が出来ると変わると言う。翔だって例外じゃない。
 理由はどうあれ、他校に行くと決めてから翔も仲間と野球をすることから逆に対決したいという気持ちも同時に芽生えた。
 人間として、野球人としてこの出来事は翔を一回り大きくした、そんな気がする……








連夜「(ゴクッ)

翔「……なんでこんな話することになったっけ?」

連夜「(ゴクッ)

進「コーヒー飲んでないで答えろよ」

連夜「マスター、これブラック? 甘い気がするんだけど」

マスター「あ、ゴメン。まとめて作った時に連夜のにも少し入れちゃった」

連夜「マジ? 別にいいけど、しっかりしろよ」

マスター「ゴメンゴメン」

進「いや、聞けよ」

連夜「聞いてるよ。(ゴクッ)

龍「あれだろ? なぜ翔が横浜海琳を選んだか」

進「いや、純粋に翔の赤面話がしたかっただけだけどな」

連夜「ま、聞いての通り、馬紀さんの進学に合わせたんだろ?」

翔「今更だろ」

連夜「ん。っで、今も続いてると。良いねぇ青春で」

進「お前は年寄りか」

連夜「ま、良い。もう四年も付き合ってんのか。スゲーな」

龍「俺は今の彼女とはまだ一年もたってないのになぁ」

翔「じゃあ進も四年か〜」

連夜「あれ? 進、中学のとき彼女いたっけ?」

進「(シーッ)」

翔「あ、いや……そんな気もしなくもない」

連夜「何言ってんの、お前……」

龍「そ、それよりさ、お前ら高校卒業したらどうすんの?」

 事情を知っている龍が無理やり話題を変更。

翔「え? プロ入り以外なにかあるの?」

龍「偉く強気だな。入る気満々かよ」

翔「そりゃあね。西武・中日・横浜・広島などなど、ほぼ毎日スカウト陣が俺のピッチングを見に来てるぜ」

連夜「翔はどこ希望なんだ?」

翔「どこでもいいよ。強いて言うなら西武か横浜かな〜。西武は地元だし、横浜も高校三年間のおかげで住み慣れたし」

龍「連夜は?」

連夜「俺も声がかかればどこでも良い。俺にはロッテや西武のスカウトが来たっけな。他のやつらにも来てるし、ご苦労なこった」

進「そういう龍は?」

龍「俺も特にないなぁ。お前らと同じリーグならどこでも良いや」

連夜「俺はお前らとは別のリーグが良いな」

龍「なんでよ?」

連夜「お前らと一緒だとタイトルが取れない気がする」

進「お前も強気な発言だね。プロ入りしたらもうタイトル取った気かよ」

連夜「ま、首位打者の一回くらい取れるんじゃね? 親父でさえ二回もとってんだから」

進「はいはい。その調子で叩かれるなよ」

連夜「進はどうなんだ? お前こそかなり声かかってるだろ?」

進「……俺は……」

連夜「ん?」

進「プロにはいかない。アメリカに行こうと思ってる」

連夜「ふ〜ん…………(ブハッ)

マスター「(ポタポタポタ……)

進「お〜い。マスター、コーヒーこぼしてるぞ?」

連夜「マスターはどうでもいい! どういうことだ!?」

進「言った通りだ。野球留学ってやつかな、一応。アメリカに行って本場の野球に触れて来るよ」

翔「まさか日本に戻ってくる気ないのか?」

進「いや、二年くらいで帰ってくるよ。そのとき、とってくれる球団があるならだけど」

翔「な〜んだ。じゃあ早く帰ってこいよ」

連夜「ふ〜ん。物好きなヤツだな」

龍「…………………」


 それから他愛のない話が続いて8時過ぎ頃、それぞれの家に帰った。
 龍以外は他県から来てるが、実家に久々に帰るみたいで、明日は中学校に行ってみようって話しになった。

 中学校に行く話しになって連夜はその帰りにふと思い出していた。転校してきた時のことを……

連夜「あいつらに会わなきゃ俺もう野球やってなかったんだよな……」

  連夜が翔たちと初めて出会った季節は秋風が吹く、少し肌寒さを感じるような日だった。


〜To be continued〜


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